【介護費】同居していても「世帯分離」すれば親の「介護費」を大幅に節約できる!
介護は、介護者の心身の負担だけでなく、「介護費」というお金の負担にも及びます。
今回は「世帯分離」という方法を使った節約方法を紹介します。
介護費用は世帯の所得合計で自己負担額が異なります。負担額は4段階に分けられ、もっとも安い第1段階と、もっとも高い第4段階では、月額で2万円以上の差があります。
もし、介護している親と生計をひとつにしているのであれば「世帯分離」を検討してみましょう。
世帯を分けることで自己負担限度額を決める対象は「親」になるため、いまより安くなる可能性があります。ちなみに同居していても生計が別ならば「世帯分離」が申請できます。
<高額介護サービス費の自己負担限度額>
利用負担段階:第1段階
対象者:世帯全員が住民税非課税で、老齢福祉年金を受給している人。
生活保護を受給している人。
月額の自己負担限度額:1万5000円
利用負担段階:第2段階
対象者:世帯全員が住民税非課税で、公的年金等収入額とその他の
所得金額合計が、年80万円以下の人。
月額の自己負担限度額:1万5000円
利用負担段階:第3段階
対象者:世帯全員が住民税非課税で、第2段階以外の人。
月額の自己負担限度額:2万4600円
利用負担段階:第4段階
対象者:第1~第3段階以外の人。
月額の自己負担限度額:3万7200円
◇第1段階と第4段階の月額差は2万2000円。10年間で約266万円も負担額が違います。
◇第3段階と第4段階の月額差は1万2600円。10年間で約151万円も負担額が違います。
<「世帯分離」のメリット>
◇毎月の介護サービス自己負担額を軽減できる
・介護サービスを利用するには、介護サービス費用の一部を「利用者が負担」する必要があります。個人の負担額の上限は「高額介護サービス費制度」で定められています。
・ 利用負担限度額を超過したときには払い戻し申請ができます。また、世帯分離をして親世帯の所得が下がれば、その対象区分に応じて自己負担の上限額が下がることになり、介護費用負担の節約につながります。
◇国民健康保険料の支払い額が減ることがある
・国民健康保険料の金額は前年の所得で計算されるため、世帯分離によって負担額が減ることがあります。
<世帯分離のデメリット>
◇国民健康保険料の支払額が増えることがある
上記で「国民健康保険料の支払額が減ることがある」メリットを記載しましたが、国民健康保険に加入している世帯が世帯分離をした場合、「分離した世帯主各々が国民健康保険料を支払うことになります」。そのため負担額のトータルは増えることがあります。
◇介護サービス利用の合算ができなくなる
・例えば父母がともに介護サービス利用であることもあるでしょう。その場合、同一世帯であれば複数名の利用料を合算して、超過分の払い戻しを申請できます。しかしながら世帯が別の場合は、この利用料の合算ができません。そのために介護サービスの利用の仕方によっては、マイナスになることがあります。
(追記)
世帯の主な生計者が会社員の場合には、世帯分離をしても親を健康保険組合に加入させたほうがよい場合があります。会社員が親を介護している場合、世帯分離をしても健康保険組合に親を扶養家族として加入させ、組合の制度を利用したほうがお得なことがあります。
(介護、老老介護、介護疲れ、孤独死・・・)
<まとめ>
世帯分離のメリットとデメリットを検討したうえで決めましょう。
高額な介護サービス費や特定入所者介護サービス費は、世帯全体の所得により決まるため世帯を分けたほう(世帯分離)が、介護費用の負担減につながるケースがあることをことをご紹介しました。
特に高額な費用負担が発生する施設に入所することになった場合は、世帯分離するかしないかによって負担額に大きな差が出ます。今すぐ世帯分離をするかどうかは別にして、介護費用を節約する方法の一つとして覚えておくべきでしょう。
ただ、介護保険制度は定期的に見直されて改訂されていきます。自分の収入状況や将来設計、介護保険制度の最新情報を定期的にチェックすることも大切です。
【参考】
厚生労働省:「介護保険制度の見直しについて」
http://www.mhlw.go.jp/topics/2017/01/dl/tp0117-k01-05-02p.pdf